【ConoHa VPS】KUSANAGIがシステムに詳しくない初心者でも簡単に導入できるようになったと聞いて試してみた

KUSANAGIはWordPressを高速で実行させるために環境です。
しかし導入するにはVPS等を契約して自分で環境を構築する必要があり、サーバーのシステム管理について詳しくない人にとって非常にハードルが高いといえます。

一年ほど前ですが、僕も数日かけてKUSANAGIでサイトを作成しました。
ですがその後の保守等に時間がかかり、記事の更新に支障がでたため他のレンタルサーバーに移行した経験があります。

↓その時の記事

ですが今回、ConoHaのVPSでKUSANAGIを簡単に構築できる「KUSANAGI manager」というものが導入されました。
もしかしたらレンタルサーバー並みに管理等が楽になっているのではないかと期待が持てます。

そこで今回は、サーバーのシステム管理について詳しくない側に立って、サイト作成が簡単にできるのかどうかを確認してみます。

KUSANAGI環境の構築

まずは実際にConoHa VPSでKUSANAGI環境を構築してみます。

あらかじめ下記公式ページで、ConoHaのアカウントを取得しておいてください。

KUSANAGIイメージでサーバーを構築

最初にKUSANAGI環境を構築します。

取得したConoHaのアカウントでログインし、VPSのメニューを表示してください。

ConoHa VPS かんたんKUSANAGI

次の手順でKUSANAGA環境を作成します。

1) サーバー追加をクリック
2) サービスはVPSを選択
3) メモリは1GB以上を選択
4) イメージタイプからアプリケーションを選択
5) かんたんKUSANAGIを選択。(メモリ512MBを選択しているとKUSANAGIを選ぶことができない。)
6) rootパスワードとネームタグを入力。

rootパスワードは忘れないように控えておく。
ネームタグはそのままでも問題ないが、「KUSANAGI」など内容がわかるものにしておくとよい。

7) 追加をクリック

KUSANAGI Managerの起動

数分待つと、サーバーリストに作成したKUSANAGI環境のサーバーが表示されます。

ConoHa VPS サーバーリスト

ここまでは、去年僕が構築したKUSANAGIインストールと同じでした。

いよいよKUSANAGI Managerを試してみます。

ネームタグをクリックしてサーバーの管理画面を開きます。
その際、次のようなメッセージが表示されます。

KUSANAGI manager

「KUSANAGI管理」のボタンを押すと「KUSANAGI Manager」を開くことができます。Basic認証のユーザー名は「root」、パスワードは「VPSの初期rootパスワード」です。

KUSANAGI Managerの詳細な使い方はこちらをご確認ください。

かんたんKUSANAGIでサーバーを作成すると、「KUSANAGI管理」というボタンが追加されていました。

ConoHa VPS KUSANAGI管理ボタン

早速押してみます。

ConoHa VPS KUSANAGI Manager ログイン

ユーザー名とパスワードを入力する画面が表示されます。
ユーザー名に「root」
パスワードにサーバーをインストールしたときに設定したrootパスワードを入力します。

ドメイン登録・WordPressサイトの作成

KUSANAGI Managerにログインすると、サイトを作成するドメイン名とメールアドレスを入力する画面が表示されます。

ConoHa VPS KUSANAGI Manager ドメイン入力

ドメインはあらかじめ、XDomainやValueDomainなどで取得しておきます。

取得したドメインに次のネームサーバーを設定しておきます。

ConoHa VPSネームサーバー

ns-a1.conoha.io
ns-a2.conoha.io
ns-a3.conoha.io

※他のレンタルサーバーからConoHa VPSのKUSANAGIに移行する場合、ネームサーバーの変更を後からしても大丈夫です。

メールアドレスは、現在使用している(生きている)ものを指定します。

取得したドメインの名前と、任意のメールアドレスを入力して「作成」を押します。

DNSの設定

しばらく待つと、DNSの設定に必要な情報が表示されます。

ConoHa VPS KUSANAGI Manager DNS設定

DNSの設定をおこなってください。

作成したサイトにアクセスするには、サーバーのIPアドレスを対象ドメインのAレコードへ設定する必要があります。

初心者だとつまずくポイントだと思うので、簡単に手順をお伝えします。
なおこの時点で、上記の画面の「次へ」を押し、③の完了へ進んでも問題ありません。

ConoHa DNS設定追加

次の手順でDNSの設定をおこないます。

1) DNSをクリック
2) +ドメインをクリック
3) ドメイン名を入力
4) 保存をクリック

ConoHa DNSレコード追加

5) ドメインリストにドメイン名が表示されたら、名前をクリックして設定を開きます。
6) 鉛筆マークをクリック
7) +(追加)マークをクリック

DNSレコードを入力するボックスが表示されるので、次の値を入力します。

DNSレコードの設定値

DNSレコードの設定値
タイプ:A(通常)
名称:@
TTL:3600
値:サーバーのIPアドレス

サーバーのIPアドレスは、「KUSANAGI管理」ボタンがある画面で確認できます。

8) 保存を押して登録

WordPressインストール

次にWordPressのインストール作業を行います。
この作業はDNSキャッシュサーバーが更新されて、ブラウザからドメインにアクセスできるようになるまでまで待つ必要があります。

備考

ただし次のリンク先の方法で、更新前でも新規サイトにアクセスすることができます。

Windows10でhostsを編集してドメインにアクセスする
MacOsでhostsを編集する方法

インストール作業は次の手順でおこないます。

1) KUSANAGI Managerのサイト一覧から、目的のドメインをクリックします。

ConoHa VPS KUSANAGI Manager サイト一覧

2) 基本設定タブ内のWordPress管理画面URLをクリックしてWordPressの初期インストール画面を表示します。

ConoHa VPS KUSANAGI Manager WordPress管理画面URL

3) WordPressのインストールに必要な情報を入力して、インストールを開始します。

WordPress インストール 必要情報入力

4) 次の画面が表示されたら、ログインを押します。

WordPress インストール 成功

5) ユーザー名とパスワードを入力してログインします。

WordPress ログイン画面

6) WordPressのダッシュボードが表示されます。

WordPress ダッシュボード

パスワードを忘れた場合はサイト一覧上でサイトを削除して、もう一度サイト作成してみてください。

SSL化

次にサイトをSSL化してみます。
この作業はネームサーバーの変更が有効になり、ブラウザからサイトにアクセスできるようになった後におこないます。

1) KUSANAGI Managerのサイト一覧から、目的のドメインをクリックします。

ConoHa VPS KUSANAGI Manager SSL化

2) 基本設定タブ内のSSL化をONに変更します。

SSL証明書の取得はサイト作成時に自動でおこなわれるようですが、ネームサーバーの変更やDNS設定などが行われていないなどの理由で取得できていないときは、この設定をONにした時点で取得手続きがおこなわれます。

またhttpからhttpsへのリダイレクトの設定も自動でおこなわれます。

※WordPress管理画面の一般設定内の「WordPress アドレス」「サイトアドレス」のhttpからhttpsの書き換えについても、自動でおこなわれているようです。

その他の設定

基本設定タブ上の残りの設定をしておきます。

ConoHa VPS KUSANAGI Manager fcache bcache WAF設定

■fcache

Webサーバー(nginx)のキャッシュ機能をONにします。WordPressにアクセスせずにサーバー上のキャッシュを返すので、高速です。

■bcache

WordPress内で動作するKUSANAGIプラグインのキャッシュ機能をONにします。WordPressのダッシュボード上でページ種ごとのキャッシュ時間や記事公開時にキャッシュを削除するかどうか、除外するURLなど細かく指定できます。

■自動バックアップ

ONにするとデータベースとWebに分けて、毎日バックアップを取ってくれます。
いざという時に安心です。
ただし古いバックアップを自動で削除してくれるかどうか不明なので、ディスク容量を圧迫しないように時々自分で削除したほうがいいかもしれません。

確認などの操作は、基本タブの横のバックアップ一覧タブでおこなうことができます。

■WAF(Web Application Firewall)

Webアプリケーションの脆弱性を狙った攻撃から保護するセキュリティ機能です。
※僕の環境でこの機能をONすると、管理画面の表示が乱れました。現在のところは使用しない方がいいようです。

作成したサイトとファイルの送受信をおこなう方法

今回作成したサーバーとFTPでファイルの送受信をおこないたい方は、次の記事を参考にしてください。

KUSANAGI環境はメールが使用できない

大手のレンタルサーバーを利用している人の中には、独自ドメインを利用したメールアドレスを作成したり、WordPress内に問い合わせフォームを設置していることがあると思います。

しかしConoHa VPSのKUSANAGI環境でこれらを実現するには、サーバーにログインして黒い画面上でコマンドをいくつも打ち込む必要があります。

めちゃくちゃめんどくさいです。

メールを利用する場合は、KUSANAGIよりも大手のレンタルサーバーを利用したほうが楽だと思います。

プラグイン・テーマによっては不具合が発生する

今回作成されたWordPressのファイルとディレクトリを確認すると、所有者がkusanagiでグループがkusanagiになっています。
しかし次の記事の方法でPHPの実行ユーザーを確認すると、実行ユーザーがhttpdでグループがwwwです。

これでどんな問題がおこるかというと、プラグインやテーマで独自にデータをファイルに書き込んだり、ディレクトリを作ったりができない可能性があるのです。

SFTPで接続してディレクトリの属性を777にすれば、一応問題が解決します。

でも初心者だと対処がとても難しいのではないかと思います。

ファイルアップデートの上限が16MB

ConoHa VPSでインストールしたKUSANAGI環境はNginxというWebサーバーを利用しているのですが、このサーバーがアップロード時のファイルサイズを16MBに制限しています。

このため、16MBより大きいファイルをサーバーに送ることができません。

ネットで調べると、「upload_max_filesize」「post_max_size」などの設定を変更するように書いてあります。
しかしこれらよりもNginxの設定が優先されます。

Nginxの設定はサーバーにログインして直接書き換えないといけないので、初心者にはお手上げです。

セキュリティが不安

ConoHa VPSでインストールしたKUSANAGI環境は、ファイアーウォールなどが起動してなく、その他の設定についてもOSの初期状態だと思われます。

せっかく実装されているWAFもONにすると管理画面が正常に表示されないため、使用できない状態です。

VPSはセキュリティに関して自己責任なので、この状況で使い続けるのは少し不安が残ります。

またKUSANAGIの推奨メモリが4GB以上です。
これ以下だと、十分な性能を発揮できないということです。
ConoHA VPSで4GBのサーバーを契約するとひと月3,608円となり、レンタルサーバーと比較すると割高に感じますね。

以前は一つ一つコマンドを打ち込んでいき、何度か失敗しながら数日かけてWordPressで作業ができる状態にしました。
それから考えると、非常に簡単になっていて驚きです。

ですが、かゆいところまで手が届いてる大手のレンタルサーバーと比較すると、できることが少ないのが現状です。
セキュリティの面や費用も合わせて考えると、サーバーのシステムに詳しくない人は手を出さない方がいいようです。

ただしConoHa VPSは好きにサーバーの構築と削除ができて、その期間分の費用だけが請求されます。
推奨環境ではないですがメモリ1GBを月968円で借りて、数日間だけでも操作して遊んでみるのもいいですね。



【ConoHa VPS公式サイト】